メインシナリオ2章「幽霊船は空を飛ぶ」
シナリオ原案:marsh データ制作:marsh
推奨CL合計値:40〜70
※GM以外は「Bマップ」以降を見ないほうがシナリオを楽しむことができるでしょう。
プレイヤーとして参加する場合はご注意下さい。
メインシナリオ1章に比べるとかなり難易度が高くなっていますので、
推奨CLに達していないならレギュレーションを指定してCLを引き上げるか、
サブシナリオや「夢幻の迷宮」でのレベル上げを行ったほうが良いでしょう。
@導入 Aシナリオ概要 Bマップ ・B1F ・B2F
C奪取までの流れ D対決! Eエネミーデータ Fエピローグ G清算
@導入
「・・・前々から思ってたんだけどね」
アニーが唐突に呟いた。・・・彼女が突然何かを言い出したときは、
大抵において無茶振りが来るものと相場は決まっており、
今度は何が来るのかと身構える習慣ができていた。
「あなたたち歩くの遅すぎない?クエストの目的地にいくの一つとってもちんたらちんたら・・・
いい加減あなたたちにあわせて動くのに疲れたから、なんとかしなさい?」
やはり清々しいほどの無茶振りだった。
彼女は魔法の力か何か知らないが常に浮かんでおり、
歩くほどの労力も使わず、あなたたちの2〜3倍の速度で移動することができるようだ。
彼女から見れば人間が普通に歩く速度など、遅くて当然だ。
「あっ・・・そーだっ!いいこと思いついたわ♪」
そして突然の笑顔。あなたはこの時アニーがご機嫌であればあるほど、
ひどいことを思いついたということを、早くも悟っていた。
「グレイヴディガーの『死者の箱舟』を奪っちゃいましょ!
あれならどこにでもひとっとびだし、すごく快適になるわよ♪」
そして、彼女が口に出したのは予想の数倍ぶっとんだ発想だった。
第二魔将グレイヴディガーの船を奪う?
できるわけがない、あっという間に殺されて配下のゾンビにでもされるのがオチだ。
「いいんじゃない?今のまま生きてるか死んでるかもわからない状態で
地べたを這いずるよりは、ハイリスクハイリターンの賭けに出たほうがね。
大体、将来魔将を倒そうっていう勇者が、直接戦うわけでもない魔将にビビってどうするわけ?」
そうは言うが、やはり危険すぎる。
賭けに出ると言うよりは、ベットに使うチップをそのままドブに投げ捨てるようなものだ。
「はあ・・・悪いけどあなたたち危機感なさすぎじゃない?
魔将がその気になれば今この瞬間にもフィルトウィズを消し飛ばせるのよ?
その時が来てミンチにされて、ハンバーグになってから後悔してみる?
分の悪い賭けでも乗って、冒険のペースを上げないといけないと思わないかしら?」
・・・納得はいかないし話がすり替わってる気もするが仕方ない。
アニーの有無を言わさぬ口調は、実際に魔将ならそれが「できる」という知識に裏付けられているのだろう。
あなたはアニーの言うとおり「死者の箱舟」を第二魔将グレイヴディガーから盗むことにした。
「ようやくその気になったかしら?・・・ならとっておきの策を授けるわ、心して聞きなさい♪」
アニーは悪戯っぽく、そして楽しそうにニヤリと笑った。
あなたはその笑顔を見て彼女が天使のようだと思った。
・・・もっとも、天使は天使でも堕天使だが。
*
「さて、作戦だけど・・・グレイヴディガーの船は基本的に神出鬼没で所在はわからないわ。
でも、満月の夜にだけ決まった場所に停泊しているし、
しかもその間グレイヴディガーは留守にするの。
丁度もうじき満月だし、その時を狙って頂いちゃいましょ。
停泊地は『夢幻の迷宮』よ。あなたでも行ったことあるわよね?」
夢幻の迷宮。入るたびに形を変えると言われているダンジョンで、
ある程度進むと必ず財宝が手に入るだけではなく、
死亡するような状況になった場合に即座に帰還魔法を発動するシステム
「保険」によるサポートがあるため、エクスプローラーには人気のダンジョンだ。
「そそ、さすがにあなたでも知ってるわよね。もっとも今回はダンジョンに潜るんじゃなくて、
ダンジョンのある半島に停泊してる『死者の箱舟』を奪い取るのよ。
さて、死者の箱舟にもいろいろとグレードがあるんだけど・・・
グレイヴディガーの乗ってる『母艦』はさすがに無理だろうし、
その周囲に停泊してる『護衛艦』のほうを乗っ取ればいいわね。
アタシが母艦のほうで派手に陽動してくるから、その隙にあなたが突入するのよ」
・・・彼女の策とやらはどう考えても確実には程遠いものだが、
嬉々として計画を立てている彼女に水を差すのも賢明ではないと判断して、
あなたは黙々と冒険の準備を進めるのだった。
*
「いかがなさいました、グレイヴディガー様?
何か憂いがございましたら、このフュネライユ不肖ながらご相談させて頂きますが?」
「夢幻の迷宮」へと向かう「死者の箱舟」の船長室。
第二魔将グレイヴディガーは仮面を外して物憂げにワイングラスを傾けていた。
そして、その煌びやかな椅子の前に跪く銀髪のリッチが
リッチ達のリーダー格である『ディガー様親衛隊長』フュネライユだ。
「あのご婦人から『フィルトウィズに大きな変革が訪れるかもしれませんわ』と告げられてから
そろそろ1ヶ月・・・動きがあるころではないかと思ってね。
それに例のお転婆さんからも『そっちにお邪魔するかもしれないわ』と伝聞があった。
しかし彼女が正式なアポイントをとって会食に来るとは思えないのでね」
グレイヴディガーはこくん、とワインを飲み干して優雅にグラスを置く。
「第七魔将でしょうか?まったく、大して重要でもない仕事に就いているからって気楽なものです。
・・・それで、もしグレイヴディガー様がご不在の折に来客があった場合はいかがいたしましょう?」
「正式なアポイントのある来客には相応のもてなしをしてくれ。
そして、もしもそうでなかった場合は・・・」
グレイヴディガーは豪華な椅子にかけたマントを羽織って立ち上がり、
ふわりと机を飛び越えてフュネライユの前に降り立つ。
そしてフュネライユの顎をくいっと持ち上げて耳元で囁いた。
「処遇は君に任せるよ、フュネライユ。
私のためになることだと思うなら煮るなり焼くなり好きにすればいい」
「ひゃ、ひゃいディガー様ッ!!!全てはディガー様のため、
全力で殺らせて、いえやらせていただきますッ!!」
フュネライユは顔を真っ赤にして目を白黒させながら答える。
ギアに改造した箇所からは蒸気がプシューッと音を立てながら噴出している始末だ。
ともあれグレイヴディガーはその答えに満足したのか、
にこりと笑うと髑髏の仮面をつけて船長室を出て行った。
これからしばらくは「夢幻の迷宮」の視察で戻ってこないだろう。
フュネライユは肩をぷるぷるっと振るわせて興奮気味に忍び笑いをしていたが、
グレイヴディガーが完全に去って行ったのを確認すると大笑いを始めた。
「ひ、ひひひひッ!来るならこいよ第七魔将・・・
大体あいつ私より遅くに作られたガキのくせに生意気なんだよ・・・
第七魔将や第四魔将より私のほうが優れてることを証明すれば、ディガー様の私への寵愛も確実ゥ!!
さーって!どうやってオモテナシしてやろうかなー!いっひひひひひひッ!!!!」
フュネライユは気でも触れたかのように笑い続けていた。
Aシナリオ概要
「お、あったあった・・・あれが護衛艦『ナイトブランダー』よ。
これから奪われるとも知らずに呑気に停泊してるわね。
さーて、ハデに陽動してくるから、この船の操縦室を制圧して出航しちゃいなさい。
陽動もあまり長くはできないから、手短に制圧完了させるのよ!」
このシナリオの目的は、第二魔将グレイヴディガーの所有する「死者の箱舟」を奪うことです。
グレイヴディガー本人は「夢幻の迷宮」の視察に出払っていますが、
船内にも配下が残っているため簡単にはいかないでしょう。
首尾よく「死者の箱舟」を奪い取っても、当然ながらリッチ達は奪い返しに来ます。
特にリーダー格『ディガー様親衛隊長』フュネライユの執念は恐ろしいものです。
いかに彼女の執拗な追撃を振り切るかがシナリオ後半の山場となります。
Bマップ
1マスはおよそ3mです。敵の配置はすべてアニーの陽動により減った後のもので、
陽動前にはこの数倍の敵がいるものと考えてください。
よって侵入から制圧までを手早く行わなくてはならず、
町へ補給に戻ったりすることは不可能です。
夜であるため薄暗く、「猫の目」などがなければ
視覚に関する[感覚]判定には−6のペナルティを受けます。
・船外マップ
護衛艦「ナイトブランダー」の外観です。
いかにも「幽霊海賊船」といった様相ですが、
見た目に反してなかなか頑丈にできています。
泳いでいけばB2Fの客室の窓(外観N1付近)から忍び込むことが可能です。
この侵入方法であれば桟橋付近にたむろしているリッチ達は無視できます。
また、侵入を気取られずにすむため時間制限もほぼなくなります。
GMはアニーの口を借りるか、外観を描写してそれとなく誘導しても良いでしょう。
PCのうち1人が[敏捷−6]判定に成功すれば(【野伏の歩み】が有効)
泳いで窓にロープを取り付けることができます。
ロープさえ取りつければ他のキャラクターも判定なしで侵入可能です。
飛行可能なキャラクターであれば[敏捷−3]判定でも構いません。
もちろん、これらの判定に失敗すると気付かれてしまいます。
その場合は「ボコスカ戦闘」で処理を行うと良いでしょう。
・桟橋(H9、H10)
幅1ヘクスの桟橋です。H11付近にはリビングデッド(CL5)3体がひしめきあっており、
その後ろH9付近には新米リッチ(CL25)が退屈そうに居残りをしています。
PCに気付けばマストの上のスターゲイザー(CL10)と同時に攻撃を仕掛けてきます。
戦闘になった場合は「ボコスカ戦闘」で解決すると良いでしょう。
PCのCL合計が50以下ならスターゲイザーとリビングデッドを1体ずつ減らすと良いでしょう。
・通信機(G4)
壁にラッパ型の通信機が設置してあり、甲板と船長室で会話が可能になっています。
このラッパ型通信機は視覚による[感覚]判定で視認可能です。
(「猫の目」がなければ−6のペナルティをお忘れなきよう)
桟橋付近で普通に戦闘を行うと船長室のカロンキャプテンに「増援求ム」の信号弾を発射され、
地下2階より下を探索しようとすると陽動に気付いたフュネライユ達がこちらに向かってきます。
そうなる前にGMから「君たちにそんな余裕はない」と伝えると良いでしょう。
「ああもうっ、何やってるのよドジグズ間抜け!せっかくの陽動が台無しじゃないのよ!」
・扉(G5、O5)
どちらも入ってすぐにB1Fへの階段があります。
O5側は船室になっており、壁にはこの船の見取り図がかかっています。
発見できればB1FとB2Fの完全な見取り図をプレイヤーに見せても良いでしょう。
(どこにどの敵が配置されているかまではわかりません)
・マスト(L5、Q5)
大きな髑髏が描かれたマストのついた柱です。
L5のマストの上は見張り台になっており、スターゲイザー(CL10)が陣取っています。
非戦闘時は多少気を抜いており、西側のみに注視しているので
東側からこっそりと泳いでくるキャラクターに気付くほどではありません。
しかし、桟橋付近で戦闘になればクロスボウで容赦なく狙撃してきます。
桟橋から柱までの距離はおよそ20mです。
・船内B1Fマップ
船長室をはじめ広々とした部屋が多くあります。
・船長室(C〜E付近)
船長のカロンキャプテン(CL25)の「ムーラン」は侵入者に気付いていなければやや油断しています。
取り巻きに副官でデュラハン(CL22)の「シーザー」を連れてはいるものの、
こっそりと鍵をあけて一気になだれ込めば、戦闘するまでもなく制圧できるでしょう。
音をたてずに鍵を開けるにはマスターキーが必要です。(地下2階J7の部屋にあります)
甲板などで戦闘を行い、侵入に気付かれていた場合は配下にカロン(CL12)×2を追加します。
また船長室に鍵をかけ、援軍が来るまで立てこもろうとします。
F3の扉はテーブルでふさがれていますが、うまく音を立てずに開けることができれば、
相手はF3の扉には無警戒なので戦闘を行わずに制圧可能です。
普通に動かせば必ず音を立ててしまいますが、食堂で「ぬるぬるオイル」を見つけていれば
音をたてずに動かすことができます。
船長室の扉(F7)を力づくでぶち破るには
「ボコスカ戦闘」で200点以上のダメージを与える必要があります。
当然、この試みはすぐに気付かれて臨戦態勢をとられてしまいますので、
気付かれずに侵入することは不可能です。
扉を破壊したあとカロンキャプテン達と戦わなければなりません。
・昇り階段(G6、P6)
外へ出る階段です。G6の階段は外部のG5、P6の階段は外部のO5に出ます。
周囲の踊り場には樽などが置かれていますが、特にめぼしいものはありません。
・下り階段(Q6)
地下2階のQ6に下りる階段です。
・食堂(J〜N付近)
大きなテーブルが中心に置いてある食堂です。
敵はいませんが、棚にはおいしそうな食材やワインが並んでおり、
特異点「乱痴気騒ぎ」をもつキャラクターが手を出さずにいるには自制判定が必要です。
時間がないのに肉や酒をほおばり、酔っぱらったりしてシナリオ終了まで
判定に−2のペナルティを受けます(バッドステータスと扱わず、治療できません)
部屋の探索を行うと以下のものを発見できます。GMから「何か役に立つものがあるか探してもよい」と
探索を行うよう誘導しても良いでしょう。ただし時間がないので判定は代表者が1回だけ行えます。
([感覚]判定で行い【盗賊の極意】が有効です)
成功度6:ぬるぬるオイル(G3の扉を音をたてずに開けることができる)
成功度9:海の男の干し肉(とてもスパイシーな肉。戦闘中以外に使用可能で、〔HP〕〔FP〕が最大値まで回復)
J5、N5の扉にはいずれも鍵はかかっていません。
壁には「鍵を無くしたらラズリのマスターキーを借りること」と書かれています。
ラズリはカロン姉妹の妹のほうで、地下2階のJ7が彼女の部屋です。
・船内B2Fマップ
主に船員の部屋と倉庫があります。
窓から忍び込んだ場合はN3の部屋から探索開始になります。
・倉庫(C〜G付近)
様々な積荷がある倉庫です。敵に気付かれていない状況であれば、
探索によりアイテムを入手可能です。
宝石の入った彫刻(売却で10000GP相当)を入手可能です。
また、壁にかかった剣の1つがアダマンソード(剣)であることもわかります。
このアダマンソードはパーティーのメンバーに応じて、
アダマン製の別の武器などに変えても良いでしょう。
中央にはマスターキーがないと開かない豪華な宝箱があり、
中には「ういっしゅすたー」が1個とメモが入っています。
「第二魔将グレイヴディガーは魔将と世界を監視する役目を与えられた。
想定外の事態がフィルトウィズを蝕んだ際、世界を『強制終了』させる役割を持つ」
・ロビー(O〜R付近)
船員たちがくつろぐために作られた部屋です。
トランプやチェスのようなゲームが散らばっています。
視覚による[感覚]判定に成功すれば、
テーブルの足には血文字で書かれたメモが貼ってあるのがわかります。
これはラズリの部屋のマスターキーを入手するためのヒントです。
プレイヤーの知識で正解にたどり着いてもらっても構いませんし、
[知力−6]判定に成功すれば正解(6372)を教えても構いません。【賢人の知恵】も有効です。
「まずは機械の王を崇めよ 次にすべての父祖を崇めよ
次に純白の堕天使を崇めよ 最後に我ら死者の王を崇めよ」
・空き部屋(N3、N7)
現在は誰も住んでいない部屋です。使われずホコリのたまったベッドと
簡素なタンス、横開きの窓がある程度で、特に目立ったものもありません。
ただしN7の部屋は床が傷んでおり、[感覚−6]判定に失敗すると
ぐしゃっと音を立てて床板を踏み抜いてと片足を捻挫してしまいます。
その場合シナリオ終了まで〔移動〕〔回避〕に−3のペナルティを受けてしまいます。
また、音を立ててしまうため、カロン姉妹がこのフロアにいれば気付かれてしまいます。
PCの人数が3人以下なら姉妹で戦闘を仕掛けてきますが、
4人以上であれば廊下を突っ切って船長室へ向かおうとします。
・スターゲイザーの部屋(K3)
PCのCL合計が50以下の場合はただの空き部屋です。
マストで見張りをしているスターゲイザーの部屋で、
手作りと思われるファンシーな飾り付けがしてあります。
スターゲイザーは外にいるのでこの部屋はもぬけのからです。
机の上には彼女の日記帳があります。
「はぁ・・・ザバーニーヤ様に言われてきたけどここのカロンどもは人使いが荒くて困るわ。
第二師団に配属されるって聞いたときはグレイヴディガー様がいるから
ラッキーって思ったけど、リッチどものせいで近寄ることもできやしないし・・・
そういえばザバーニーヤ様はずっと留守にしてるらしいけど、どこで何をしてるのかしら?」
・デュラハンの部屋(K7)
PCのCL合計が50以下の場合はただの空き部屋です。
副官のデュラハン「シーザー」の部屋ですが、彼はカロンキャプテンにつき従うため
この部屋はほとんど使わず船長室に寝泊まりしています。
部屋はきちんと整頓されており几帳面な性格がうかがえます。
タンスには懐中時計があり、その中にはカロンキャプテンの似顔絵が入っています。
・ラピスの部屋(J3)
カロン姉妹の姉のほう、ラピスの部屋です。
ドアには血文字で「ラピス」と書かれています。
侵入に気付かれていた場合は船長室にいますが、
気付かれていなかった場合はこの部屋で武器の手入れをしています。
PCが3人以上でかかれば戦闘なしで制圧可能です。
ラピスとラズリの部屋は続けて制圧する必要があり、
片方を制圧したあと即座に次の部屋を制圧しなかった場合は
残ったもう1人がすかさず船長室へ報告に行きます。
・ラズリの部屋(J7)
カロン姉妹の妹のほう、ラズリの部屋です。
ドアには血文字で「ラズリ」と書かれています。
侵入に気付かれていた場合は船長室にいますが、
気付かれていなかった場合はこの部屋で一人遊びをしています。
(骸骨をバラバラにしたあと組み立てるパズルのような遊びです)
PCが3人以上でかかれば戦闘なしで制圧可能です。
ラズリの部屋にはダイヤル式のロックがかかった宝石箱があります。
解除ナンバーは「6372」
で、この中に船のマスターキーが入っています。
ラズリを倒して捕えたあと[意志−6]判定で交渉すれば手に入れることができるでしょう。
(その際は【詩人の交渉術】が有効です)
ロビーのヒントからプレイヤーに推測させても構いません。
いずれにせよ力づくで解除することはできず、
総当たりで開けようとするとアラームが鳴り響き敵に気付かれてしまうでしょう。
(倉庫の探索を行う時間はなくなってしまいます)
C奪取までの流れ
ナイトブランダーを奪うには、まず船内を制圧する必要があります。
敵はかなりの多勢で、正攻法では勝ち目がほぼありません。
アニーが陽動で敵の手勢を引き付けている隙に、あなたが船内に突入することになります。
陽動後に残ったナイトブランダーの乗組員は
・カロンキャプテン(CL25)
・デュラハン(CL22)
・新米リッチ(CL25)
・カロン(CL12)×2
・スターゲイザー(CL10)
・リビングデッド(CL5)×3
といったところです。PCの人数が多かったり強力な場合には
マストの上のスターゲイザーをコスモロジスト(CL20)に、
桟橋付近のリビングデッドのうち1体をデッドリーローズ(CL15)に変更します。
船長室を制圧するまでは大きく分けて
@強行突破
A忍び込む
の2つの手段が考えられます。
@の場合は桟橋付近の敵を一掃したのち、そのままB1Fの船長室に突入するものです。
こちらは大抵敵に気付かれてしまうので、船長室への突入は迅速に行わなければなりません。
Aの場合は敵を確固撃破できるため戦闘の難易度も下がります。
また、ある程度探索をする余裕も出てくるのでこちらのほうが賢明です。
PCのCL合計によって以下のように難易度を調整します。
・CL合計値60以上
スターゲイザーをコスモロジスト(CL20)に変更
リビングデッドのうち1体をデッドリーローズ(CL12)に変更
・CL合計値50以下
スターゲイザーとリビングデッドを1体ずつ削除
船長室のデュラハンを削除
どちらにせよ船長室を制圧すれば、そのまま「死者の箱舟」を発進させることができます。
船内に残っていた敵も、船長室を制圧した時点で降伏か逃亡します。
ロールプレイに自信があれば船内にクルーとして残しても構いませんが、
魔族と協力するという考え方を持つキャラクターはこの時点では非常に稀でしょう。
ちょうど陽動から戻ってきたアニーとも、発進と同時に合流して構いません。
しかし、そのまま黙って船を奪われるような第二師団ではありません。
母艦を始めとした死者の箱舟の艦隊がPC達を追いかけてきます。
『ディガー様親衛隊長』フュネライユとの対決がシナリオのクライマックスになるでしょう。
※全部探索してる時間がないよ!という場合
GMから忍び込んだ後、以下のように展開を誘導して判定のみ行わせると良いでしょう。
(強行突破の場合はそこまで時間はかからないはずです)
@潜入→血文字のヒント
Aカロン姉妹討伐(→マスターキー入手→倉庫を物色)
B食堂の探索
C船長室に突入
D対決!フュネライユ!
「逃げられるとでも思ってるのかぁん?このグズどもがぁぁぁぁぁッ!?
船を返せばとっくべつ大サービスで殺すだけで勘弁してやるぜぇ?
だが返さないんなら殺した後も、永遠にスケルトンとしてこき使ってやるよッ!!」
おどろおどろしい拡声器で怒鳴るフュネライユは、
こちらよりスピードの速い船を使って追いかけてくるため、
そのまま一直線に飛んでいたのではたちまち追いつかれてしまいます。
武装もこちらの船より強力で、砲撃戦になれば勝ち目はありませんので、
自動生成ダンジョン「夢幻の迷宮」を縦断することで、
フュネライユの船をうまく振り切る必要があります。
逃亡中は戦闘中と同じようにターンごとに行動を解決します。
護衛艦「ナイトブランダー」の〔HP〕は1000とします。防護点は考えません。
ナイトブランダーは「ドッジ」がPCのうち最も[感覚]の高いキャラクターと
等しい値であるものとして〔回避〕の判定を行います。
[感覚]が12以上のPCがいない場合、〔回避〕の目標値は12で固定されます。
また、PCがエネミーの攻撃によってダメージを受けた場合、
その最終的なダメージもそのまま「ナイトブランダー」へのダメージに加算されます。
これは、同様の攻撃が船にも浴びせられたとイメージしてください。
ナイトブランダーの〔HP〕が0になると墜落してしまい、シナリオは失敗になります。
勝利条件は以下の2つのいずれかです。
@4ラウンド終了まで耐える
Aフュネライユ(3ラウンド目で登場)のHPを0にする
Aの達成はかなり難しいので、@の達成を目指すほうが無難でしょう。
ラウンド進行時は以下のヘクスシートを使用します。
暗いグレーの床・・・低い床
明るいグレーの床・・・高い床
網目模様グレー・・・船室の天井(通行不可)
網目模様ブラウン・・・船の手すり(通行不可)
スカイブルー・・・空。多分落ちたら死ぬ。
階段・・・普通の床と高い床を繋ぐ坂
低い床から高い床への攻撃は〔命中〕に−2のペナルティを受けます。
・フュネライユ出現ポイント(H7)
3ラウンド目の開始時にフュネライユが出現します。
彼女は屋根の上から主に呪術を使用して妨害してきます。
・クリスタルビースト出現ポイント(J3、J11)
3ラウンド目の開始時にクリスタルビーストが出現します。
パーティーの人数によって出現数は異なります。
・ヘルハウンド出現ポイント(J3、J11、R7)
4ラウンド目の開始時にヘルハウンドが出現します。
パーティーの人数によって出現数は異なります。
・1ラウンド目「キノコの密林」
船への攻撃・・・副砲「ドクロキャノン艦載型」 命中:15 致傷力:3D+20 攻撃回数3
「そこの船止まりなさーい!止まらなければ・・・ふぇ・・・ぶぇっくしょい!!」
無数の巨大キノコが生えた密林です。キノコは脆くへし折りながら進めますが、
風向きの関係上、へし折ったキノコから飛ぶ胞子がフュネライユの船を直撃します。
PCも全員〔抵抗−4〕で判定を行い、失敗すると涙と鼻水とクシャミが止まらなくなります。
これにより、以後行う全ての判定に−2のペナルティを受けます。
バッドステータスの一種と扱うため「中和ポーション」や【キュアー】などで治療可能です。
ともあれ、キノコの胞子のおかげで少し時間稼ぎができます。
いったん船を止めて、どこからか取ってきたマスクとゴーグルをつけて追いかけてくるのですが。
・2ラウンド目「風の峡谷」
船への攻撃・・・杭打機「パイルバンカー艦載型」 命中:15 致傷力:3D+30 攻撃回数2
※1発目が命中すると2発目は自動命中 1発命中するごとに以後全ての回避−2
「ちょろちょろしてるんじゃないわよ!!こいつで動きを止めてやるわ!!」
ごつごつと岩の突き出た、危険な峡谷地帯です。
しかも、強い風が吹いており思った方向に進めないことがあります。
さらに運の悪いことにここは変種ガーゴイルたちの住処になっており
ターン終了時に岩の槍が1発ずつ飛んできます。
PC達が行動時に【アテンション】【ラスカルメナス】【ミサイルシールド】などを
使用するのは認めて構いません。【ガーディアンスピリット】なども使用可能です。
GMは妥当だと思われるようターゲットを決定して下さい。
岩の槍は命中15、3D+30の「打撃」「刺突」属性ダメージの射撃攻撃です。
ここでは強い風にあおられ、壁面にぶつかってしまう可能性があります。
ターン終了時に風の強さを2Dで決定し、その値をペナルティとして
[敏捷]の最も高いキャラクターが判定を行います。
失敗すると、船に「失敗度×10」点のダメージを受けてしまいます。
フュネライユの船は強烈な突風にあおられ、船の側面を強く打ちつけられます。
いったんは地面に落ちますが、再びよろよろと追撃してきます。
まだまだPCは逃亡しなくてはなりません。
・3ラウンド目「氷の洞窟」
船への攻撃・・・「氷柱を落とす」 命中:10 致傷力:3D+50 攻撃回数3
「つーかまーえたっ・・・!!第二師団に手を出したことを後悔しながら死ね!!!」
凍てつくような寒さの洞窟です。そこそこ広い空洞があるため死者の箱舟でも通ることができます。
敵は上方の氷柱を撃ち落として命中させようとしてきます。
命中率こそ高くないものの、喰らってしまうと甚大な被害が出ることでしょう。
このラウンドの最初に、フュネライユは器用にワイヤーと飛行機能を駆使して、
飛行船に取りついてきます。以降は戦闘ラウンドで彼女も行動して妨害してきます。
(船を完全に破壊しないよう、多少力をセーブしていますが)
さらにこの洞窟に住み着いたクリスタルビースト(CL25)も器用に飛び移ってきます。
PCは彼らの相手もしなくてはならないでしょう。PCのCL合計値に応じて難易度を調整します。
CL合計値50以下・・・クリスタルビーストは出現しない
CL合計値51〜70・・・クリスタルビースト1体出現
CL合計値71以上・・・クリスタルビースト2体出現
偶然落下した巨大な氷柱が敵の船の進行を妨害するため、まだ時間稼ぎはできます。
しかし、こちらの船に憑りついたフュネライユは相手にしなくてはなりません。
・4ラウンド目「炎の洞窟」
船への攻撃・・・主砲「ハイパーメガドクロキャノン」 命中:20 致傷力:3D+100 攻撃回数1
※〔回避〕に成功してもクリティカル以外は致傷力半減のみ
「もう逃げられないわよ?年貢の納め時ってやつねッ!!!
・・・ってこらー!?私まで巻き添えにしてキャノン砲撃つんじゃないわよ!?」
「ちっ、まだ生きてやがるか・・・」
溶岩の池が広がる、灼熱の洞窟です。出口のない空洞に追い詰められてしまいます。
PCと船はターン開始時に火炎により3D+10の「火炎」属性ダメージを受けます。
(このダメージのみ、PCの受けたダメージは船に適用しません)
なお、前のラウンドに出現したクリスタルビーストはラウンド開始時に逃亡しますが、
フュネライユは引き続き船にとりつき、こちらを妨害しようとしてきます。
また、この洞窟に住み着いたヘルハウンド(CL12)がクリスタルビーストと交代して襲ってきます。
戦闘はこのラウンドまでですが、攻撃されたくなければ倒しておいたほうが良いでしょう。
CL合計値50以下・・・ヘルハウンドは出現しない
CL合計値51〜60・・・ヘルハウンド1体出現
CL合計値61〜70・・・ヘルハウンド2体出現
CL合計値71以上・・・ヘルハウンド3体出現
4ラウンドを耐えきるかフュネライユの〔HP〕を0にすると
PCはうまくフュネライユを船から引きはがし墜落させることができます。
(急旋回して遠心力で振り飛ばした、など演出は自由です)
同時に謎の光の柱がフュネライユの船を撃ち抜き、
フュネライユの船は溶岩の中に墜落していきます。
「やれやれ、ギリギリ間に合ったようね。ほんとにしつこいヤツだったわ・・・
フュネライユ!アンタにはこの溶岩温泉の片道切符をやるからゆっくり養生しなさい!」
「う、嘘だ、嘘だ、嘘だぁぁぁぁぁぁッ!?
も、申し訳ございません、グレイヴディガー様ぁぁぁぁぁぁッ!!
お、覚えていろよ第7ま・・・ぐわーーーっ!!」
洞窟の上部には、謎の光の柱が穿った大穴があります。
この大穴に向かって進めば夢幻の迷宮を脱出することができます。
(簡単に書きますが穴を出るにはほぼ垂直に進む必要があるのでPCの恐怖はかなりのものです。
高い場所に「トラウマ」のあるPCなどは気絶してしまうかもしれません)
「さあ、一気に脱出するわよ!・・・あ、そうそう。下は見ないほうがいいわよ?」
PCは全員無事に脱出できたでしょうか?
これでシナリオはひとまず終了です、「Fエピローグ」に進んで下さい。
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